ゆるキャン△の感想とか大垣千明の魅力とかについて

 先月ゆるキャン△バンダイチャンネルサブスクリプション配信で観てた。別に自分から観たいと思っていたわけではなく、これを観て影響を受けたらしい知り合いから「道具はおおむねこちらで用意するから山行って日帰りでアウトドア活動やるの付き合って」と誘われて、手回しまでしてくれるならアニメくらいは観とくのがいいかと思って観た次第。
 せっかくなので、この辺に感想などを書いてみる。小説や映画なんかと違ってテレビアニメなんかは気楽に見返せないし、ほかに書いたり思い出したりする局面もないしね。

 前述のとおり、観るのにそれほど意欲的だったわけでもないのだけれど、観終えての感想としては、なかなか悪くなかった。キャラクターはかわいいけれど、だからといってかわいい女の子がキャッキャッ言ってるだけのアニメというわけでもなければ、型にはめたような友情劇(自分はこういうものもわりと嫌いではないけど)でもなく、かなり落ち着いた内容だった。
 自分がとくにいいなと思ったのは、よく根暗キャラが主人公、ヒロインな青春劇にありがちな「優しくて理解のある友達によって輝かしい青春を送れました」みたいなシナリオのものとか、まったくの外的要因がきっかけで自分の生活が好転する、みたいな話ではなく、それぞれのキャラが自分の価値観とペースを守りつつ、他人の考えややりたい事を尊重しながら互いに関わり合っているところだった。主人公はあくまでもソロキャンプに軸を置きつつ、それはそれとして他の人と一緒にキャンプするのも肯定的になっていく。野外活動サークルの部員たちもひとりで黙々とソロキャンプを営む主人公に興味を持ち、接近を試みつつ、過度に干渉するわけではなく自分たちは自分たちなりのやり方で楽しくキャンプする方法を模索している。これはまさに、実際の生活で誰かと関係を育むときに行われる個々人の試行錯誤で、自分はそういう部分を結果や設定ありきの仲良しごっこに終始せずに、丁寧に描写しているところにかなり好感が持てた。
 この点に限らず、ひとつの作品として、全体を通してかなり現実の女子高生の経済状況や立ち振舞に準拠して描かれているな、という感じがした。女子高校生ひとりきりでキャンプする、っていうテーマ自体はともかくとしても、それ以外の面はかなり等身大だなという感じがある。野外活動をするにしても、アニメよろしく高価なキャンプ道具が突然湧いて出てくるわけではなく「買うお金がない、じゃあバイトしよう」となるあたりとか、そのバイト先が非デパートメントストア型の複合商業地(田舎でよくみるやつ)の酒屋とスーパーマーケットなあたりとか、自宅が皆離れていて学校以外での関わりに乏しいところとかね。
 原作の著者は性別非公表らしいけど、作風からみて、個人的には女性じゃないかなと思ってる。キャラクターの描写がかなり丁寧で、実際の女子高生の振る舞いをよく理解しているんだなという印象があるし、あと、アニメ中にあった焚き火の後に化粧水渡すくだりなんかは、男性ではふつう考慮できないだろうし、仮にできたとしてもわざわざ入れ込もうと思わないんじゃないかなあ。
 
 キャラクターで一番印象に残ったのは、大垣千明で、理由はすでにさんざ書いたようなところを一番反映していたキャラクターだったから。明るくて活発ではあるけれど、割と他の人の反応をよくよく見たうえで行動していたり(主人公をサークルに誘いたいと思いつつ、各務原なでしこと違って、過度に踏み込んでいくことはよくよく避けている)し、お調子者ではあるけれど無鉄砲ではない(ほうとうを作る回で、友人一人相手ならてきとうでいいけど、その家族が相手なら一定以上のものを作らなくては、という義務心を感じたり、稼いだバイト代でどんなキャンプ道具を買うか悩み抜いたり)ところなんかを見ていても、まさに等身大の高校生だなという感じがしたし、自分はそういうひとりの人間らしい機微を持っているのを、とても好ましく思えた。

 さらに個人的な話をするなら、まさに高校時代の同級生でこういう女の子がいて、自分はこれを観ているあいだ、ちょくちょくその子のことを思い出していた。むろん、自分がそうであるように、その子ももう“子”ではないわけだけれどね。
 高校一年生のときのとなりの列にいた子で、太めの黒縁メガネでボブヘアー。眉毛は細くはなかったけれど、しっかり整えてきているらしい、印象の強い眉毛をしていた。前後に座っている女の子ふたりととりわけ仲が良かったらしく、グループを形成していたのだけれど、他の女の子のグループと混ざって一緒に話をしているときなんかはだいたいその子が主体になってふざけつつ、他のやや会話に不慣れらしい二人の出番を作るという具合に、うまく会話を取り持っていた。テストだとかの話になるとだいたい自分は全然勉強をしてこなかったとか自虐をかましていたのだけれど、ひとりで席に着いているときなんかはたいがい本を読むか、熱心に課題に取り組んでいたし、授業態度もかなり良好だった。自分なんかは昼食を一緒にとる同級生もいないくらい友達がまともにいなかったから、決してクラスの中心人物というわけでもない子ではあったのだけれど、あそこまで色んな面で気取らずにうまく立ち回ることができているのを見て、人知れずめちゃくちゃ羨ましく思ったっけなあ……
 と、思い出話はこの辺にして、とにかく、実際の自分の思い出と結びつくくらい、この大垣ってキャラクターは、いろんな面で作風やキャラクター間の交わりにいい影響を与えていたと思う。単純に自分の性格とてらし合わせて誰に似ているかを考えたならやっぱり志摩リンなんだろうけど、それはあくまでもシンパシーであって、魅力を感じるかっていうとまた別なんだよね。というか最近は自分と性格が似通っているキャラを見ていてもあまり魅力に感じないというか、同族嫌悪みたいな感情のほうがよく湧く(知らんがな)
 あと、一応書いておくけど、別に自分は先に書いた子のことが好きだったわけじゃない。この子に限らず、他にも深く掘り下げて思い出話をできるただの同級生は、性別問わず結構いる。友達がいなくてしこしこ勉強して自分の存在を顕示することくらいしかやることのない学生が他に学校生活の中でなにかやろうとしたときに見つかる趣味が、周囲の環境の観察くらいしかなかったってだけの話。はい、言い訳おわり。


 大枠の感想を踏まえて、細かい所の話なんかをさらに少し書く。
 すでにキャラクターの描写のよさについて書いたけれども、やはりこの辺は声優の演技の功というのも大きいんだろうな、と思う。先に書いた大垣千明は言わずもがな、他のキャラクターもいい感じで、とりわけ各務原なでしこの声がいい。キャラクター自体はそこまで自分の好みというわけではないのだけれど、あのちょっとだけハスキーさのある声についてはすごくいい。活発な感じがキャラクターにうまく反映されているし、ハスキーといっても決して嗄れているというわけではなく、伸びやかな声で気持ちがいい。小倉唯や演じてる『てーきゅう』のトマリンなんかもまさにこれと同じ理由で大好きで、てーきゅうのトマリン回だけ何度も見返したりしてた。あと中盤で調べて気付いたのだけれど、この各務原なでしこの声って『アイドルマスター シンデレラガールズ』の佐藤心なんだな。しかも中の人19歳かー、すごいなあ。
 アニメーションそれ自体に関しては、自分は詳しくないのでとくに書かない。個人の主観で言えば、概ねかなり良かったと思う。ただ、8話の作画は素人目で見た上でもちょっと擁護できる余地が見当たらなかった。掲示板とかでもけっこうネタにされたみたいだけど、BDとかでは修整が入ってたりするんだろうか?

 あと、最後にオープニング曲について。もう既に指摘されているみたいだけれど、ギターとリズムの伴奏、それから曲の構成がジャクソン5の「I Want You Back」に酷似してる。リズムやコード自体はリズム&ブルースなんかでよくあるようなもので、個別に見れば同じだったところでさして気にすることもないのだけれど、これに関しては一話目のオープニングを観た時点で即座に「I Want You Back」が思い浮かべてしまったくらい酷似していて、ちょっと大丈夫なのか? という感じがする。作曲はシンガーとは別で、よく予め意図したもの(オマージュ)だ、という話らしいけれど、それにしても似すぎてやしないか? シンガーの事務所は5pbで、エンディングクレジットに志倉千代丸の名前もあったくらいなので、ちゃんとチェックの上で大丈夫だと判断したものだとは思うし、そもそも「I Want You Back」ほどの著名な曲を似通った形で取り扱ってバレない、なんて考えているはずがないのだけれど、それにしても……うーむ。
 ただ、ひとつ書いておくけども、別に「似すぎていること」と「曲として優れていること」は矛盾しないし、自分は「酷似しているから悪い曲だ」みたいなことを書きたいわけじゃない。じっさい良い曲だと思っているし、このシンガーのためのこの曲を用意した理由もよくわかる。当の歌手の声は、2000年代前後くらいに見た宇多田ヒカル倉木麻衣みたいな、R&Bを下敷きにしつつバラード面からのアプローチが出来るJ-POPシンガーを思わせるような整った声質で、R&Bをベースにした曲を歌わせよう、という考えは正しかったと思うし、実際にそれは功を奏している。しかしながらまあ、それだけに自分はなんとも言えないな、とも思う。結論の出せない部分なのでここについては最後に書かせてもらった。


 とくに熱意を持って観ていた、というわけでもないのだけれどなんだかんだ楽しく見たし、この通りここまでで4000字も書いてしまうくらいには色々考えることのあるアニメだった。ただ、正直に言えば、よーしキャンプはじめてみるか、とはならなかった。というかアニメ中でやたら大量に肉買い込んでキャンプで一夜にして食い尽くすのを見て「そんな一度に食っちゃもったいないだろ!」とか内心ツッコむくらい現実で金銭的に困ってるのに、わざわざ遠出してお金払って寒空で一泊するだけの手間をかけようとは思えないよな。わざわざ金を払ってするまでもなく、今まさに自分はサバイバルじみた生活をやってる(したくてそうしてるわけじゃない)し、そういう意味では自分は既にキャンプをしているとも言える(言えない)

 それじゃあ、感想終わり。存外長めの記事になってしまったのだけれど、久々にのびのびと文章を書けてたのしかった。最近は理屈こねる文章ばっかり方方で書いていて、風邪で体力が万全でないのも相まって毎日頭がズキズキ痛む始末だったし、すごくいい気分転換になったと思う。アニメにしても、感想を書くことにしてもね。
 さあ来週からは溜まりに溜まったブクマ記事やら書き途中の記事をまとめる作業に戻るぞ(げっそり)