キットカットきっとぐにゃっと

個人ブログなんかためにならなくていいんだ上等だろ

washburn1975氏主催の映画オールタイムベスト投票記事

 2017/12/09 追記: せっかく記事書いたのになかなか元記事へトラバ反映されないなーとか思いながらボケーッと過ごしてたんだけどよくよく思い出してみればはてなブログはトラバ出来ないんだったわ。前投票したときははてなダイアリーだったからすっかり忘れてた。まあ、よくあるよくある(ハナホジ)
それなりの字数かけて書いたしもったいないので記事はこのまま掲載して、投票はコメント欄の方で済ませておく。自分とおんなじように勘違いして投票記事書いてる人なんかもそれなりにいそうだから、今度はてなブログから検索かけてみるのもいいかもしれない。

 週一くらいのペースで書きたいとか言っておいてすっかり放置していたのだけれど、washburn1975氏が例年通り映画オールタイムベストの投票を募っているので参加ついでに更新してみる。自分がこれまでにこのランキングでトラバ参加したの何だったっけな。アニメとSFはちょうど自分の中でも熱が高まってた頃で、前のブログで参加した記憶があるんだけど。
 それじゃあ時間があまりないのでちゃちゃっと書いていく。

 選んだのは次の十本で、順位付けはしません。

監督 作品名 公開年
イングマール・ベルイマン 秋のソナタ スウェーデン 1981年
ジョン・フォード わが谷は緑なりき アメリカ 1941年
エルマンノ・オルミ 木靴の樹 イタリア 1979年
ジョン・カサヴェテス チャイニーズ・ブッキーを殺した男 アメリカ 1976年
ロベール・ブレッソン ラルジャン フランス 1983年
バスター・キートン キートンの探偵学入門 アメリカ 1924年
イエジー・スコリモフスキ ムーンライティング ポーランド・イギリス 1982年
宮﨑駿 風立ちぬ 日本 2013年
マイク・ニコルズ 卒業 アメリカ 1967年
マジッド・マジディ 運動靴と赤い金魚 イラン 1997年

選択理由を書く前に、先に偉そうなことを言っておくのだけれども、自分は、誰よりもとまでは言わずとも人並み以上には映画を見ているという自負があって――そしてそういった自負を持った人間ならば誰しもが「オールタイムベスト10を選んでくれ」と言われた時に考えると思うのだけれども――まあ、十本に絞るというのはまず無理。なので、自分の中で、自分が観てほんとうに素晴らしいものだと思い、なおかつ他人が見てもきっと良いものだと感じるだろうなと思ったものを20本ちょっと大まかに選んで、そこから国、時代、知名度とかいろいろバランスを取りながら10本に選別した。割と客観的な目線も入れたつもりだったけれど、こうして羅列してみるとしっかり自分の映画遍歴および人生遍歴を反映したリストになっていて中々恥ずかしかったりする。たぶん、映画だとかについてよく話をするような知り合いがこれを見たら自分だと分かるんじゃないだろうか。

 選んだ理由だとかは取り立てて書くつもりはないし、自分自身先に映画評を見聞きしてから映画を観に行くということが嫌いな人間(観た後なら普通に楽しく読む)なので、まあ仮にこの記事を読む人がいたとしたら、ちょっとでも気になったらレンタルないしオンデマンド、近くに名画座がある人はかかることがないか確認して観てくれたら嬉しい。全体を通して古典(教養)主義とサブカル(マイナー)受け映画の混在といった感じなのだけれど、そのうち「ムーンライティング」「風立ちぬ」「卒業」についてのみ少し外向きに書いておく。

 「ムーンライティング」について。現在のポーランド映画における巨匠、および頂点と言われているイエジー・スコリモフスキの80年代の作品で、ポーランドと言うと映画好きでない人にはすこし敬遠されるかもしれないけれど、ポーランドは非西欧圏では映画分野において際立った成果を残している国で、決してマイナーというわけではない場所です。イエジー・スコリモフスキや昨年亡くなったアンジェイ・ワイダはじめポーランド映画は日本でも映画好き(敢えてシネフィルとは言わない)には一定の知名度があり、スコリモフスキ自身も非欧州圏では日本が一番の理解者と考えているようで、毎年都内で行われている「ポーランド映画祭」に際しては毎年のように来日ないし映像コメンタリーを行ってます。ここで選んだ「ムーンライティング」は現在まで長く活動しているスコリモフスキの80年代の作品で社会的・政治的色彩の強い作品。スコリモフスキは作品の幅が広く、この他にもヌーヴェル・ヴァーグの影響の下ジャン=ピエール・レオを主演に据えた「出発」などがあり、自分は「ムーンライティング」に劣らずこちらも好きです。

 「風立ちぬ」について。こちらは説明などは入れるまでもないので、単純に何故これを入れたのかだけ。いわゆるアニメおたくの人らの多くは宮﨑駿を大衆(非オタク)寄りの迎合者と見做していて、しばしば「宮﨑駿は大したことない」ないしは「宮﨑駿より~~の作品の方が」といったような言われ方をすることがある(主観でものを言うなら、比較的素直に評価しているらしいはてな界隈でさえ、しばしば政治的姿勢を含めた中傷じみた非難をしばしば見る)のだけれど、こうした人たちはみな宮﨑駿の見識の深さを著しく見誤っているというふうに自分は考えていて、そうした主張も兼ねてこれを入れてます(ここでこれを抜いてでも入れたいと思う作品はある)。宮﨑駿の遺作となるはずだったこの「風立ちぬ」は彼の映画半生における集大成的な作品で、古い映画および古い小説に触れてきた人間であれば彼がどれだけ豊かな文化的基盤の中で一連の作品を作り上げてきたかが分かるはず。ここで“映画と小説”としたのは、何もアニメを文化的創造物と見做していないわけではなくて、彼のアニメ表現における地盤はアニメだけではなく映画や小説にも大きく依っているからです。だから、アニメおたくや東浩紀宮台真司といったおたく文化の論客のほとんどが「おたくカルチャー」という狭い分野からしか宮﨑駿という作家を捉えようとしないことや、あまつさえオスカーはじめ種々の賞によって知名度と評価とを獲得していく宮崎に対して「大衆迎合」などと言ってしまう態度にとても不満があり、その辺いい加減なんとかならないものだろうか、と思っていたり。
 ただまあ、それはそれとして自分は「風立ちぬ」は宮崎の映画人生の幕引きに相応しい最高傑作(としても問題ないであろう)と考えていたので、新作に着手、というのには正直ちょっと「ええ……?」となった。ただ、新作発表についての記事のブックマークコメントに「この手の人種は手塚と同じでペンを握りながら死ぬ以外の死に方はない」といったようなコメントがあって、なるほどそうかも知れないとも思ったり。さて、次の作品はどうなるんだろうか。

 最後の「卒業」について。これはリアルタイムで触れてきた世代ないしその世代の影響下で生きてきた人間にはあまりにもベタな選択に感じられると思うのだけれど、これはベタすぎると言うのを踏まえた上でもやはり入れておくべき作品。今ではラストシーンやシナリオといった表層的な面ばかりが取り上げられてしまうのだけれど、決して全面的に大衆に依った作品、甘く悲しい物語を語ることに終始した作品(たとえば「ある愛の詩」や「オータム・イン・ニューヨーク」のような)ではなくて、他のそれとは異なる、際立ったものを持った映画であることが分かるはず。監督のマイク・ニコルズはこの「卒業」以前から映画および舞台の分野において確かな名声を獲得していた人物で、現在ではアメリカ映画史の文脈から、この前作に当たる「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」もしばしば取り上げられてます。たぶん自分があと10歳くらい歳を重ねる頃には、「卒業」ではなくこちらをニコルズの最高傑作に挙げていると思う。

 以上。3000字を超えたのでこの辺りで。いずれも古い作品なので、別にランキングに挙がっていようがあがっていまいがとくに気にすることとかはない。まあせっかくオールタイムベストなんだから票を集めやすい新作に寄っちゃうのは面白くないよね、ってことで。
 個人的にはこの例年のランキングで一番楽しみなのは結果以上にトラックバックに集まった投票記事をじっくり読んでいくことで、この記事がそうであるように、わざわざトラバ用記事を書くような人たちはだいたいその映画に対する個人的な思い入れを熱心に語っていて、そのへんの評論家気取りの映画評(たとえば自分のような!)よりずっと作品の理解が進むのでとても為になる。もしこれを読んでいる人がいたら、是非元記事のトラバから投票記事を閲覧してみるといいんじゃないだろうか。

 投票締め切りは12/17いっぱいまでだそうです。投票をお考えの方はお早めに。

 
 それから最後にブログ放置について少し。放置してるのは別にやる気がなくなったとかではなくて、単純にめちゃくちゃ忙しいからです。これまで自分はそれほど忙しくなく毎日を過ごすようなことはなかったし、そういう必要に駆られたときは概ね適当に怠けることでやり過ごしてきたのだけれど、どうにも今回ばかりはそうもいかないようで。来年度までには落ち着くはず(落ち着いてくれないと困る)なので、その頃には戻ります。

わたしがASA200で撮ったやつよ

 書こうと思ってた記事が存外膨らんでかなり長くなってきて、書き終える気配がないので適当に別のネタで書く。
 自分は古い時代の音楽が好きで、中学生くらいのころからよく聴いている。今だと、こういう古い時代の作品の多くは版権を保持しているレコード会社がシリーズとしてまとめて廉価盤CDとして販売することが多くて、その都度ちょくちょく欲しかったアルバムを見つけては買いに行ったりしている。それで、最近もあちこちのレコード会社の復刻盤のカタログを探していたのだけれど、どうやら今だとワーナー、ユニバーサル、ビクターといった直接版権を保持するメジャーレーベルに限らず、規模の小さいレーベルからもこの手の復刻盤のシリーズが結構あるらしい。
 前々からamazonなんかで検索しても国内盤がヒットしないような古いアルバムをGoogleで検索すると、国内盤を販売してるオンラインショップ(芽瑠璃堂、ディスクユニオンとか)に繋がったりすることがあって、これはどうしたわけなんだろうと思っていたんだけど、はっきりとこの手の旧盤復刻があちこちで行われていることに気づいたのはヤングとホーキンスの共演盤「クラシック・テナーズ」の廉価盤復刻が、それまでと違う聞いたことのないレーベルが記されているのに気づいた時。「クラシック・テナーズ」の今度の復刻盤の製造元はソリッド・レコードというレーベルで、自分はまったく知らなかったんだけど、一部ではよく知られた会社らしい。
 
 今度出るそのソリッド・レコードからのジャズの旧盤復刻はディスクユニオンのレーベル検索*1や芽瑠璃堂の同復刻シリーズ記事*2でまとめられてるので、興味のある方は脚注のリンクから確認を。
 レコード会社の公式ページに飛んでもリリース情報に一覧が乗ってないっていう。ワーナーとかだと復刻盤のシリーズはきれいに特集ページ組んでまとめられてたり、PDFでカタログが配信されてて探しやすいんだけど、どこもこうなってくれたりしないんだろうか(わがまま)
 今回の復刻はジャズ系レーベルのフライング・ダッチマン・レコードから、日本ではCDメディアで販売されていなかった有名プレイヤーの録音なんかを抜き出したもの。「クラシック・テナーズ」の他にもアール・ハインズの「スポンティニアス・エクスプロレイションズ」なんかもあって、ぜひとも買いたい。

 他にも、新興のレコード出版社にオールデイズ・レコード(オールディーズじゃなく、オールデイズ)*3というのがあり、2015年頃から50年代から60年代のリズム・アンド・ブルースやロック・アンド・ロール、ポップスを紙ジャケット仕様で販売しているらしい。公式サイトのニュー・リリースの欄には「芽瑠璃堂ほか、HMVディスクユニオン、山野楽器店からも購入可能です」とあるので、恐らく芽瑠璃堂の傘下、或いは提携を行っている会社なんだと思う。ここの欄には記載されてないけれど、タワーレコードのオンラインショップでも購入可。店頭でも並んでるかはわからないけど、とりあえず来月あたり渋谷・新宿あたりの店舗に行って取り扱ってるか見に行ってみる(置いてあったら追記で記載しておきます※追記済み)
 こちらもソリッド・レコードと同様特集ページがないので非常にカタログが見にくいんだけど、ニール・セダカポール・アンカRCA時代のサム・クック、ボ・ディドリー、チャビー・チェッカー、アルバート・キングキャブ・キャロウェイ、ルイ・ジョーダンと、リアルタイムでこの辺の音楽に親しんでた世代は間違いなく還暦過ぎてるだろうな、というラインアップ。これ、利益出てるんだろうか(出てなきゃ2年も続いてないんだろうけど)

 自分はこの辺の時代のポップスはあまり聴かないんだけど、ニーナ・シモンメル・トーメとかジャズ・ヴォーカル系だったり、アニマルズ、ダスティ・スプリングフィールドみたいなブルー・アイド・ソウル系もちょこちょこあってなかなか興味を惹く。とくにダスティ・スプリングフィールドのファースト「ア・ガール・コールド・ダスティ」は同時代のEP盤からベイ・シティ・ローラーズのカバーで有名な「I Only Wanna Be With You(二人きりのデート)」を含むボーナストラックを新規に8曲追加という太っ腹仕様。タワーレコードからの復刻だった「ダスティ・イン・メンフィス*4」も7曲追加とかだったけど、張り合ってんの?(邪推)


追記(2017/10/26): この記事で書いた「クラシックテナーズ」を買いに新宿のタワーレコードに行ったのだけれど、このレーベルから出ているメル・トーメの「カミン・ホーム・ベイビー!」が置いてあったので、おそらく一通り取り扱っているんだと思う。それから昨日、死去の報が出ていたファッツ・ドミノもこのレーベルから出ているので、気になる方はぜひ検索を。

彼女は混じり物入りの消化剤中毒

 今日はちょっと音楽メモを。
 去年ぐらいにYouTubeにアップロードされてたオスカー・ピーターソン・トリオのMPSレーベル時代の名演を集めたコンピレーション盤みたいなのをなんとなく聴いてて、それに入っていた「イッツ・インポッシブル(It's Impossible)」という曲がすごく気に入って、それからちょこちょこ探していたんだけれど最近見つかったのでメモがてらここに書いておく。

 聴いてたのが上記の動画で、アルバムのタイトルは『Ballads, Blues&Bossa Novaamazonなんかで簡単に探してみると、同様のジャケットの日本盤が『ジャズ・クラブ~フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』という題で出ているのだけれど、これはオスカー・ピーターソンが死去したのに合わせて出たヴァーヴ・レコード時代の名演を集めたコンピレーション盤で、ジャケットこそ同様のものなのだけれど、それぞれ異なるレーベルの録音から厳選しているので、収録内容は完全に違う。
 自分が聴いたほうではジャケット右上のレーベルロゴが「MPS」となっているのだけれど、日本流通盤では「Verve」となっていることからも分かる(そんな微妙な部分だけ几帳面に直すくらいならもっと判別しやすいように完全新規デザインにしてくれればいいのに、と思わないでもない)

 それで、じゃあMPS盤を漁っていけばどこかしらに目当ての曲が入っているアルバムが入っているはず……と思って探したのだけれど、これがない。日本でもピーターソン・トリオのMPSレーベル時代の録音はかなり人気があって、この時期に出たアルバムのほとんどは日本盤が出ているので、まず見つからないってことはないはずだと思ったんだけど、いくら探してもない。

 で、仕方がないのでen:Wikipediaのピーターソンのディスコグラフィーの記事からMPSレーベルからのアルバム記事を片っ端から開いていって確認していった結果、ようやく見つかった。
 収録されていたのは『The Lost Tapes』*1*2という、1963年までのMPSレーベルの前期録音の中でアルバムに収録されなかった演奏をまとめたアルバムで、リリースされたのは1995年。日本盤はLP、CDともになし。CDメディアでは単体販売は絶盤、MPS前期録音の総集編ボックスセット『Exclusively for My Friends』*3*4の2015年復刻盤と併せてのみ手に入るそうな。もとのコンピレーション盤『Ballads, Blues&Bossa Nova』は日本独自の編集盤にカバーデザインを借用されているとおり、日本盤の流通はなく、元のアルバムもどうやら絶盤になっているよう。

 まあ、収録されてるアルバムは分かったけど手に入らないっていう。ちなみにこの『It's Impossible』はオスカー・ピーターソンの自作曲で、他にもMPS移籍前のライムライト・レコードでのトリオ録音『ブルース・エチュード(Blues Etude,1966)』にも『L'impossible』という曲名(おそらくこっちが正式名称)で収録されていたり、同様の曲名でパブロでのリーダー作『If You Could See Me Now(1983)』でもピアノ、ベース、ドラムトリオ+ギターでの録音が残ってて、これもなかなかいい感じ。ただ、個人的にはやっぱりMPSでの録音が一番好みで、流麗なソロはもちろんのこと、とりわけピアノの主線からゆっくりドラムが入ってくるところがとてもよい。
 スタジオアルバムに収録されないまま30年前後も放置されてたのがすごく不思議なんだけど、やっぱりこの録音が漏れるくらい音楽的に充実してた時期だったってことなんだろうか。

 ピーターソンのMPSでの録音は、最近でも復刻の流れがあって、去年にも最新リマスター盤が新規書き下ろし付きで復刻されてる。この中の『ウォーキング・ザ・ライン』を買おうかずっと迷ってて結局買ってないんだけど、せっかくひとつ文章書いて気分も乗ってるし、買っておくかなあ。